PHMC 2021 データ分析チャレンジ優勝者インタビュー
MATLAB 歴は、学部時代から 15 年です。
いつも一緒にいてくれる MATLAB には愛着を感じてます!
~前田さんとの会話から~
こんにちは、井上 @michio_MWJ です。あ!っという間に 12 月ですね。Qiita でも MATLAB/Simulink の Advent Calendar が開催中です。今年も残りわずか、しっかり MATLAB 芸の技を磨いていきたいと思います。
PHMC 2021 データ分析チャレンジ
先日ご案内した ISID 様主催のコンペを覚えていらっしゃいますでしょうか?バッテリーの残寿命予測の精度を競うものでした(参照:求む挑戦者! PHMC 2021 データ分析チャレンジコンテストで腕試し)。今回はこのコンペで見事優勝された前田さん(Twitter)をご紹介します!
10/14 に行われた「PHM Conference 2021 in JAPAN」内でも表彰式でもソリューションを解説されていましたが、ご覧になられた方いらっしゃいますでしょうか?
インタビュー
前田さん、師走のお忙しい中インタビューに応じてくださりありがとうございます。まず簡単に自己紹介をお願いします。 MATLAB 歴も教えてください。
こんにちは!前田孝文と申します。メーカーの研究所で働いてます。
MATLAB 歴は、学部時代から 15 年以上。いつも一緒にいてくれる MATLAB には愛着を感じてます!興味のある技術はセンサの信号処理やデータ解析です。論文や特許の調査を一気に処理する為のテキストの解析にも最近興味があります。仕事以外ではまっていることは、スポーツジムでバレエをすることです。基本的なバーレッスンがメインで難しい動きがないので、5年間楽しく続けられてます。PC 作業で前かがみになり姿勢が悪くなりやすいですが、バレエの良い姿勢をとることで明るい気持ちになれます!
バレエもやられているとは知りませんでした!道理でしぐさにもしなやかさが・・普段 MATLAB はどんなことにお使い頂いていますか?
普段は製造設備の異常予知の研究をしています。設備のプロコンやセンサで取り貯めたデータの解析や、診断アルゴリズムづくりなどに MATLAB を利用しています。
使い始めたきっかけは、大学 2 年生の機械力学の数値解析の授業の課題で使いました。ばね・質点・減衰系の構造の振動波形をルンゲクッタ法で解くような課題でした。難しすぎて友達に解き方を教えてもらった覚えがあります。学生時代はマイコン向けの C かアセンブラしか知らなかったので、MATLAB は短いコードで行列計算ができることに感動してました。
会社に入社してから 2 年間は Simulink でモデルベース開発でモータ製品のシミュレーション作り、それ以降はデータ解析の仕事を 6 年間続けています。
異常予知関連のお話しで御社にお邪魔したことがありましたね。そちらの進捗も詳細に伺いたいところですがそちらはまたオフラインで(笑)前田さんが普段よく利用される Toolbox の機能はなんでしょう?また、お気に入りの Toolbox があれば教えてください。
よく利用する Toolbox は Statistics and Machine Learning Toolbox です。boxplot 関数で複数のパラメーターを一気に箱ひげ図としてグラフ化にするのに使います。Signal Processing Toolbox のフィルタもよく使ってます!
箱ひげ図であれば boxchart 関数もぜひ使ってみてくださいね!
PHMC 2021 データ分析チャレンジでの優勝
改めまして、データ分析チャレンジでの優勝おめでとうございます!すごいですね。参加は 2 度目?コンペ等にはよく参加されていらっしゃいますか?コンペ参加を許容するような社風なんでしょうか。他にも参加されている方はいらっしゃいますか?
コンペで MATLAB を貸出していただき助かりました!参加は 3 度目です。いつもこっそり参加してますが、ISID のメールで同僚にばれて一緒にこっそり参加してました(笑)
うちでmatlab から故障予測ツールをお借りしてコンペに参加してる人が私を含めて3名いるみたいっす。https://t.co/hkC4I4NL9Z
— 前田孝文 Takafumi_Maeda (@mae_taka_update) September 17, 2021
3 度目でしたか、失礼いたしました!同僚と一緒に参加できると盛り上がりそうですね。うらやましいです!ちなみに参加するきっかけは?
2019 年ごろに井上さんに教えてもらったのがきっかけです。最初はジェットエンジンの故障予測でデータ容量が多く PC のスペック的にデータ処理に時間がかかって苦労してました。最初に参加して楽しかったのと、スキルアップも兼ねて毎年参加してます。
予測モデルを開発するうえで心掛けた点・注意した点などありますか?
2021 年の ISID のコンペは充電式バッテリーの寿命予測で、あと何回充電したら寿命になるか予測するものでした。充電電流/電圧、放電電流/電圧などがデータとして与えられたので、電流と電圧を掛け算して1サイクル毎の電池容量として可視化しました。可視化すると1サイクル毎に電池容量は下がってくるのでデータの物理的な意味を考えながらモデルづくりをしました。
類似モデルを使ったのは Predictive Maintenance Toolbox の残寿命予想の例題を参考にしてます。
電圧と電流の生波形から残寿命の数値に変換するまでに複数の数式が登場します。求める残寿命の結果を調整するためには視覚的に説明できるようなモデルがよいので、線形回帰にしました。学習データとテストデータとそれに対する回帰曲線をグラフで並べれば、フィルタ等を変更したときに妥当だったのか視覚的に比較できます。
こんなところが役に立ちました
ありがとうございます!MATLAB の例題も参考にして頂いたといことで嬉しい限りです。今回 MATLAB を使って参加されていたと入賞者プレゼンでもおっしゃっていましたが、MATLAB のこんなところが役立った!みたいなものありますか?
データ解析にはライブエディタを使ってます。コードとグラフを一緒に見ることで気づきをグラフの近くに書き込めるので、次は別の処理は入れよう!とかあれこれ考えて素早く考えて作業できます。見たい部分を拡大したいときも、スクリプト上のグラフをマウス操作でできるのも便利だと思います。
サイクル数の残寿命を予測するにあたって学習用データが3つ、サイクル数が40~120で、残寿命を予測したいデータが3つあってそのうち1つの打ち切りサイクル数が12のデータの残寿命の予測ってなかなか厳しい。最近はmatlabライブエディタの選択機能を使ってデータを丁寧に見るのがマイブーム。 pic.twitter.com/0dP0c4GmvA
— 前田孝文 Takafumi_Maeda (@mae_taka_update) September 23, 2021
作業してコードが長くなると関数化したくなりますが、関数化したい部分のコードをドラッグで選択してワンクリックで関数化できるので見やすいコードが書けます。MATLAB はライブエディタが出てきてから、作業の生産性が上がったと感じます。
関数化するのはライブスクリプトの「リファクター」の機能ですね。私もお気に入りの機能です。
社内勉強会の実施
そういえば社内でも MATLAB のセミナーを実施されたと伺いましたが、きっかけはなんだったのでしょう?手ごたえはいかがでしたか?
社内で他の事業所から一時的に研究所に来る社員と新入社員向けに紹介してほしいという依頼を受けました。データの取り込みからグラフでの可視化が簡単にできることを紹介し、Web ブラウザで動作するチュートリアル(井上追記:MATLAB 入門)を試してもらって、素早くデータ解析できるツールとして認識してもらいました。
弊社のイベントでも活用されていますが、Web ブラウザのチュートリアルは参加者・開催者双方で準備が少なく済みますね。そのような社内での活動に MathWorks 側で何かお手伝いできることはありますでしょうか?
Web ブラウザで試せるチュートリアルがあるのでインストールせずに試せたのが良かったです。これからも手軽に試せるような環境づくりをしていただけると、初心者向けのセミナーがしやすいです。
使ってくれている方もセミナーをしやすくなるという点は目から鱗でしたが、おっしゃる通りですね。手軽に試せる環境、今後にもぜひご期待ください!前田さんご自身は使い方に困った場合はこうする、など MATLAB に習熟するためのコツはお持ちですか?
最初はデータ解析で簡単なことでも悩んで困ってました。モータ解析を始めたとき大容量のデータが事業所から送られてきて、それを処理するためにすべて手作業で実施するには時間がなく、報告に間に合わなくなるので困ってました。
そこで困ったときに先輩や MathWorks の人に聞いて使い方を教えてもらいながら要領を得ました。途中からは MATLAB Central を使って質問するようになって、今は例題を参考にコードを書いてます。習熟のコツは実際の仕事で使うときにどうやったら早く効率的に処理できるかよく考えることだと思います。
そういえば MATLAB Answers で前田さんの投稿に回答したことがあるな・・と思い出しました。最後に、今後の MATLAB に期待することがあれば何なりとおっしゃってください!
はい、以前ご回答頂き助かりました。ありがとうございます!4年前のを見返すとなつかしいです。例題を参考にしてコードを書いてますので、例題を増やすとか、例題のメンテナンスを頑張っていただきたいです。MATLAB はいい製品だと思いますので、これからも使い続けたいので、情報交換したりお互いに高め合いましょう!
まとめ
前田さん、お忙しい中インタビューに応じてくださりありがとうございました。
「習熟のコツは実際の仕事で使うときにどうやったら早く効率的に処理できるかよく考えることだと思います。」については共感です。効率的に処理できる方法が分かったときの高揚感は気持ちいいですよね(笑)
ぜひ今後ともよろしくお願いいたします!
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「私もこんなことやってみたよ」など披露の場を待っているネタがございましたらご連絡お待ちしております。ぜひブログでも紹介させてください。
コメント
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