天体画像 x MATLAB Home
MATLAB 降臨によって、3 日間で 1 年分くらいプロジェクトが進んでしまった
~あぷらなーとさんのブログから~
こんにちは、井上です。気が付いたら 2020年も約10%終了していました。びっくり(汗)
さて、天文に関心を寄せていらっしゃる方、ブログの読者にいらっしゃいますでしょうか?
私の場合、2001 年のしし座流星群は夜遅くまで興奮したのを思い出します。それ以来「流星群」というキーワードを聞くと、夜空が気になりますが、東京に住んでからはあまり楽しめていません・・。(ちなみに Star Trek などSF的な宇宙も大好きです)
天文界隈で MATLAB Home ブーム?
今日は、そんな天文界隈から MATLAB Home ユーザーのあぷらなーとさんをご紹介します。
昨年末に MATLAB を使い始め、驚異的な生産性で天体画像を解析、そして結果・考察を Twitter で呟かれていました。おかげで年末年始は退屈せずにすみました。(ありがとうございます!)
あぷらなーとの写真ブログ
MATLAB との(というより MATLAB Home との)衝撃的な出会いから、新年の野望を次々撃破され、さらなる解析の深みに潜り込んでいく様子をご自身のブログでもまとめていらっしゃるので、皆様是非ご覧ください。
一点だけ引用いたしますと・・
平均輝度が同じなのに輝度変化(時間的ゆらぎ)が全く異なるピクセル『酩酊ピクセル』の解析に挑まれています。さらにそれがピクセルの特性ではなく宇宙線の影響ではないか・・などの議論展開。実際にトリウムレンズによる放射線被曝の実験をした時の画像データを解析してしまいます。
アマチュア天文家、奥が深すぎる。引き込まれました。
決めた。
今後、天体画像処理の難所はMatlabで自力でコード書いて実行することにする♪だって、ロジックがブラックボックス化(ソースが見えない)された画像処理ソフトって(失敗したときに何が原因か分からないから)気色悪いんだもん。
断じてPIの軍門には下らぬッ!(天邪鬼の強がり)
— あぷらなーと (@PG1wvzio4yvwFXW) December 31, 2019
という天邪鬼っぷり(?)を発揮され、「自分が理想とする画像処理コードを MATLAB で書けば良いのですよ!」という境地にまで至っております。すごい方ですね。
インタビュー
お忙しい中インタビューにも答えて頂きました。
Q1.これまで MATLAB で画像解析をされたことはないと伺っていますが、そうとは思えないくらいの仕事の速さに驚きました。MATLAB でコードを書くにあたって何か参考にされたものはありますか?それとも直感で書き始めて書きながら覚えていった感じでしょうか?
直感で書き始めたと言ってよいと思います。解析を始めるにあたり参考にした文献は特にありません。MATLAB のチュートリアルとドキュメントが非常に分かりやすかったため、今まで EXCEL や DELPHI で試みていた演算を容易に書くことができました。
Q2. 普段からプログラミングされるお仕事なんでしょうか?
プログラミングとは無縁の仕事をしていますので、普段の業務でプログラミングすることはありません。ただし、10 数年前に必要に迫られて Delphi や SQL で社内で使用するアプリを作らされたことはあります。
2 年ほど前に Delphi と Excel を主力にした天体画像の解析遊びを始めました。その過程で、これまでアマチュア天文界で常識とされていた各種の処理における未知の問題点が次々と見つかり、その探求が面白くなって現在に至ります。今 MATLAB で行っている諸々の処理の骨格(ロジック)はここ数年間で考案していたものの、他の言語やツールでは難儀していた案件です。
Q3. 今回活用された Toolbox を教えて頂けますか?
まだ特に活用している Toolbox はありません。Parallel Computing Toolbox と Image Processing Toolbox は購入していますので、これから活用していきたいと思います。
Q4. 学生時代に BASIC->C 言語->FORTRAN などを経験されており、他にも C# や Python も試されたとブログで拝見いたしました。それらと比べて MATLAB のどんなところが使いやすい・よいと感じられましたか?
やはり行列変数の扱いが素晴らしいと感じました。普段天体写真を仕上げる際には複数の画像間で色々な演算をさせる必要があるのですが、この概念は三次元配列そのものだからです。天体画像独自のフォーマットである FITS 規格に対応している点もありがたいです。おかげ様でオリジナル画像処理法(イーブンオッドコンポジット法)も MATLAB を触り始めて数日で実装する事ができました。また、インタープリタである点も非常に助かっています。通常のコンパイラと異なり、コードを走らせた後でも変数の中身を自在に取り出し確認することができるからです。
Q5. 逆にここはちょっと使いづらかったなど、改善してほしいと感じたところはございますか?
特にありません。強いて言えば DELPHI や VB などと比べてユーザーインターフェイスの実装が分かりにくい事ですが、これは単に慣れの問題かと思います。
Q6. 今回 Twitter 上で天体画像の処理結果を報告し合うやり取りをされておりましたが、観測イベントなどでも交流がある方々が多いのでしょうか?
やりとりしている皆様はネット上のみの交流で、お互いの素姓を知らないままで情報交換しているのが現状です。恐らく MATLAB の経験は私が一番浅いと思われます。
Q7. 今後も MATLAB を使って頂くうえで MathWorks が何かお手伝いできることはありますか?
あくまで道楽でやっていることですので、諸々の謎解き(試行錯誤)自体が楽しいのですが、各種ドキュメントのさらなる充実に期待致します。
まとめ
あぷらなーとさん、お忙しい中インタビューにまで応じてくださりありがとうございました。
MATLAB を使って解析作業が加速したとのこと、”Accelerate the pace of science and engineering” をモットーにしている我々としては嬉しい限りです。「まだ基礎の基礎しか触っていない」と謙遜されていましたが、MATLAB の プロファイラも活用されている様子も伺え、かなり使いこなしてくださっています。天文画像 Toolbox を開発された際には、是非 File Exchange に公開お待ちしております!
「恐らく MATLAB の経験は私が一番浅いと思われます。」こちらも謙虚なお言葉ですが、天文業界には MATLAB の猛者が沢山いらっしゃるんでしょうか・・。
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「私もこんなことやってみたよ」など披露の場を待っているネタがございましたらご連絡お待ちしております。是非ブログでも紹介させてください。
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