MATLAB EXPO ~ Lightning TalkとPoster Sessionが終わってみて
こんにちは、道家です。最近、エアコンの無い部屋で仕事をしているので、足元に置く一人用ミニこたつヒーターを買いました。これで作業机から離れにくくなってきました。
さて、既に2ヶ月近く前になりますが、9月の終わり10月の初めにかけてオンラインでのMATLAB EXPOが実施されました。初めてのオンライン実施という事で当日までハラハラドキドキでしたが、無事終わって良かったです。中でも非常に楽しみにしていたコミュニティー向けセッション(Lightning TalkとPoster Session)は大盛況でした。
今回は私の感想も含めLightning TalkとPoster Sessionについてまとめてみました。
目次
Lightning Talk
まずはLightning Talkです。
スケジュール
今年は全部で15枠の発表が3部に分かれてありました。
第1部
- MATLABを利用したオンライン授業、コンテストへの挑戦 (学校法人岩崎学園情報科学専門学校 浅井清美 様)
- 宇宙探査プロジェクトによる、ICT/データサイエンス人材の早期育成 (e-kagakuアカデミー 北原達正 様)
- Marpを利用したライブスクリプトからスライドへの変換 (早稲田大学 草野翼 様)
- 土木構造物のデジタル点検へのAI活用 (八千代エンジニヤリング株式会社 安野貴人 様)
- MATLAB×LiDAR×3次元画像処理による樹木の解析 (東京大学 板倉健太 様)
- MATLABを使った業務改善 (MathWorks Japan 田中早矢 さん)
第2部
- MATLAB Mobile/MATLAB Onlineを用いた高校物理教育への応用可能性 (マスムラ 様)
- 画像解析による星食の解析 (宮崎県立宮崎北高等学校 菊池慶祐 様)
- MATLABを利用したカニのディスプレイ行動の解析 (宮崎県立宮崎北高等学校 猪股聡太 様、黒木美花 様)
- MATLABによる成層圏データの分析 (e-kagakuアカデミー学生 5名様)
第3部
- MATLABとArduinoを用いた風の検知 (コニカミノルタ株式会社 西垣森緒 様)
- はじめてのブラシレスモーター制御 (パーソルテクノロジースタッフ株式会社 阿部耕二 様)
- SimulinkとMATLABをつなぐ魔法の言葉 (モータ制御マン)
- MATLABと3Dプリンタを用いた偏微分方程式の解のプラモデル化 (加賀雅文 様)
- MATLABでRPGを開発してみた (MathWorks Japan 遠藤眞覇人 さん)
すべてとても興味深い内容でしたし、5分程度というハイテンポなプレゼンだったので、ドーパミンが切れることのないセッションでした。(笑)
当日都合がつかず聞けなかった方のために、公開の承諾を得られました11枠の発表に関してはYouTubeにあがっていますので、是非ご覧ください。
道家からの感想
簡単にですが、私からの感想をまとめてみました。
- 草野様のライブスクリプトからスライド作成と、弊社の田中さんの消し込み業務改善のプレゼンは、私が常に気にかけている単純作業の自動化に関する内容なので、とても興味深く聞かせていただきました。作業効率が上がると嬉しくなりますよね~。
- 本格的なAI活用事例の安野様、LiDARを使った3次元画像処理の研究内容の板倉様の発表は、5分のLightning Talkにしてはとても濃い内容だな、と思いながら聞いていました。是非次回は本セッションにもご応募ください。
- 今年は教育に関するお話がたくさんあったのがとても良かったです。トップバッターで発表していただいた浅井様はMATLABを使ったオンライン授業について話していただきました。e-kagakuアカデミーの北原様は、宇宙というロマンを子供たちに身近に感じさせてくれる育成プログラムについて話していただきました。マスムラ様はスマホで動くMATLAB MobileとMATLAB Onlineを使って高校物理教育への応用について発表していただきました。教育関係のお客様と普段仕事をしているので、この内容が取り上げられるのはとても嬉しい限りでした。
- また、実際にMATLABを使って解析を行った中高生にも発表していただきました!e-kagakuアカデミーの育成プログラムに参加されている5名の学生さん、星食やカニのディスプレイ行動の画像解析を行った宮崎県立宮崎北高校の3名の学生さん、大人たちを刺激する発表ありがとうございました!皆さんが発表されてたころ、Twitterではかなりの反響がありましたよ。
- 阿部様の発表では、はじめてSimulinkを使ってモーター制御を行う体験談という事で、これから始める人にとって貴重な発表だったと思います。ありがとうございました。
- 加賀様の発表では、MATLAB File Exchangeから持ってきたコードを使って偏微分方程式の解のプラモデル化をされたのが、とても嬉しかったです。コミュニティーからのコードを使っていただきありがとうございました!
- 第3部にはリピート登壇者が多かったです。西垣様は3度目の発表で今回もArduinoを使った楽しい実験を見せてくださいました。2度目の登壇となったモータ制御マンは(正直まだ2度目とは信じられませんが)、MATLAB愛を、いやSimulink愛を十分見せつけてくださいました。そして今回で4度目となる弊社の遠藤さんは、初回からぶれることなく、MATLABでのゲーム作成について話してくださいました。
当日の雰囲気
以上、私からの感想でしたが、その場の雰囲気とエネルギーを感じるには裏側で盛り上がっていたツイートをご覧になると良いと思います。
のべ 600人が集まった MATLAB Expo 2020 Lightning Talk
当日の雰囲気を再度味わえる Tweet 集(並べただけ)https://t.co/KnZkfgzyUl
画像はモータ制御マンさん@motorcontrolman #matlabexpo
— michio inoue #MATLABの中の人 (@michio_MWJ) October 4, 2020
Poster Session
今年のMATLAB EXPOではバーチャルなポスター展示が行われました。合計11のポスターが展示され、EXPO期間中には人気投票も行われました。Lightning Talkでも発表いただいた中高生からのポスターも含まれています。現在でもMATLAB EXPOのホームページからすべてのポスターをご覧になれるようになっています。
投票結果
人気投票の結果ですが、中学生、高校生、情報科学専門学校の学生、と将来大活躍してくれる方達が受賞されました。MATLAB JapanのFacebookページに各受賞者からのコメントを掲載していますので、ここで紹介します。
第3位 「宇宙放射線に含まれるγ線の被爆に伴う天然ゴムの劣化過程の考察」
第2位 「トレンドキーワードのテキストマイニングを用いた今後株価上昇が見込まれる 企業の予測」
第1位 「MATLABを利用したカニのディスプレイ行動の解析」
発表者からの感想
発表していただいた方には後日アンケートを送らせていただきました。初めてのオンライン開催という事もあり、発表側としての感想、発表されることになった背景や動機について伺いました。
オンライン環境について、進行について
オンラインであるメリットとデメリットが感じられる様々なコメントをいただきました。また、司会進行がとても好評でした。
- 当日前にリハーサルが行われたので、スムーズに発表することができた(複数名からの意見)
- 一方、オンラインでの発表のため準備がいつもに増して大変だった
- 発表者側のプラットフォームと聴講者側のプラットフォームが別であったため、聴講者の反応が全く分からなかった(追伸:聴講者プラットフォームでは結構コメント・質問が飛び交っていたので発表者にそれがうまく伝わらなかったのが残念です。ただ、MathWorks飯田さんの生き生きした司会のお陰で少しは聴講者からの熱が伝わったかなと思っています)
- 当日は待機不要のため大変楽だった(データオフィス ホウノキ 朴木様)
- ポスターは事前提出のみだったので、予定を合わせる必要がなく、参加しやすかった
- 司会の方が上手に場をつないでくれていて、非常にスムーズだった(e-kagakuアカデミーの学生さん)
- 特に司会の方から振って頂いたQAは「発表を盛り上げよう!」という気概が感じられた(モータ制御マン)
学生さんの発表について、学生さんからのコメント
学生さんの発表にはとても刺激を受けましたが、学生さん達からすると成果を発表するこのような機会があったことが良かったようです。
- 宮崎北高校のカニの求愛行動の画像解析が非常に興味深かった。意外な視点を持つことの大切さを感じた(e-kagakuアカデミーの学生さん)
- 自分に質問が来て嬉しかった(e-kagakuアカデミーの学生さん)
- 限られた時間内で研究内容をすべて説明するのは大変だったが、専門分野の大人に研究について聞いていただけてとても嬉しかった(e-kagakuアカデミーの学生さん)
- 学生も同席させていただいたので、大変勉強になったそうだ(岩崎学園 浅井様)
- いろいろなアドバイスがもらえて勉強になった。他にもいろいろな研究があり楽しかった。こんなこともできるんだと新しい発見がいっぱいで、今後の参考にしたい(宮崎北高校の学生さん)
- 自分たちの研究の分からないところや、他にどのようにしてMATLABを使用しているか見られて面白かった(宮崎北高校の学生さん)
- MATLABを使っている方々の前で発表できてよかった。自分の研究している内容を世の中に発信出来て良かった(宮崎北高校の学生さん)
発表をすることになった背景、動機について
昨年参加された方からはイベントに対して好印象を持たれていたため、今年の参加を決めたというご意見がありました。
- 昨年、MATLABエキスポにてポスター発表をし、多くの方と議論が交わせたため
- 昨年参加させていただいたところ、様々な分野の方々から貴重な刺激をいただき、今年も応募しようと思った。Web開催に変更後は、どんな感じに変わるのか興味もあった(データオフィス ホウノキ 朴木様)
学生さんから、また学生さんに関してはこの様なご意見をいただきました。
- たくさんの企業の方が来てくださると聞いて興味を持ったから(e-kagakuアカデミーの学生さん)
- 今回中学生の初めての発表をプロの研究者の前に出すことで、教育界と経済界の直接的な連携を図る第一歩としたいという目標を持って臨んだ(e-kagaku代表 北原様)
- 生徒の習熟度もあがるようにという希望。就職先の幅が広がるといいなという希望(岩崎学園 浅井様)
- Mathworksの方に参加を勧められ、今躓いているところの解決ができるのではないかと考えたため(宮崎北高校の学生さん)
- 学校ではMATLABを部活で使っているが、アドバイスをいただける方が限られている。今回発表することで世の中に自分の行っていることを知ってもらい、意見が貰えたらありがたいと思い参加した(宮崎北高校の学生さん)
アウトプットをしたい、というコミュニティーには嬉しいご意見もいただきました。
- 自分と同じ状況の人(C言語は知っているがSimulinkがわからない人)に役立つ情報を提供できるかもしれないと考えたから。社会貢献の一環かと思った(パーソルテクノロジースタッフ株式会社 阿部様)
- 学生フォーミュラでの取り組み事例を発表したかったから。せっかくMATLAB Expoに参加するのであれば、インプットだけでなくアウトプットもして技術交流を深めたかったから
- 自分が話した内容に関して、あまりこういうことをやってる人はいないかと思い、こういう楽しいことができますよ、ということを紹介したかった
- 自分の作っているものを発表することで、聴講者の方の MATLAB で何かを作ってみようというきっかけになればいいなと思い参加している(MathWorks 遠藤さん)
モータ制御マンからはシンプルな答えが返ってきました。
- MATLABが好きなので
来年に向けてのご要望・ご提案
最後にLightning TalkとPoster Sessionをよりよくするためのご意見を伺いました。以下はすべて複数名からのご意見でした。
- 学生にもっとこのような発表の機会を与えて欲しい
- デザインが好きな生徒もいるので、MATLAB 3Dとかを利用したポスターのデザインコンテストも別に行っていただけたら嬉しい
- 発表者同士の交流の場が欲しい
- 聴講者からのコメントが直で発表者に見えるようになっていれば良い
- もう少し質疑応答の時間があったらよかった
おわりに
オンライン開催となった今年のMATLAB EXPO。正直、どのような結果になるか最後までハラハラしていました。でも、終わってみれば主催者側は満足感でいっぱいでしたし、Twitterの反響や当日のチャットを見る限り聴講者側も楽しめたのかなと思いました。そして、何よりも発表者がいないと成り立たないLightning TalkとPoster Sessionだったので、発表者が満足したかが重要になりますが、アンケートをいただいた22名のうち15名がまたLightning Talkで発表したい、11名がPoster Sessionで発表したいと答えてくださいました。これは、まだまだ改善の余地はあるものの嬉しい結果だと思っています。
Lightning TalkとPoster Sessionの発表をしていただいた皆様、ありがとうございました!
来年のMATLAB EXPOはどのような形で行われるか分かりませんが、Lightning TalkとPoster Sessionは引き続き実施したいと考えていますので、是非奮ってご参加(発表、聴講)ください。
댓글
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