bio_img_japan-community

MATLAB ユーザーコミュニティー

MATLAB & Simulink ユーザーコミュニティー向け日本語ブログ

MATLAB MCP Core Server アップデート:AI にコーディングガイドラインを適用する方法

※この投稿は 2025 年 12 月 11 日に Artificial Intelligence へ 投稿されたものの抄訳です。

先月、MATLAB Model Context Protocol(MCP)Core Server のリリースを発表し、MATLAB と次世代の AI エージェントをつなぐ新しい架け橋を開きました。反響は非常に大きく、皆さんがこれらのエージェントをどのように活用してワークフローを加速させているか、私たちは注意深く耳を傾けてきました。

そして本日、コードの実行にとどまらない新しい機能のアップデート(v0.3)をお届けできることを嬉しく思います。このリリースでは、AI アシスタントが開発環境を理解する方法に根本的な変化をもたらす MCP Resources を導入します。

ツールを超えて:コンテキストの力

初期リリースでは、ツールに焦点を当て、AI に MATLAB コードを実行し、式を評価し、ドキュメントを取得する能力を与えました。これはエージェントの「手」にあたります。

今回のアップデートでは、エージェントに「目」を与えます。

Model Context Protocol は単なる実行のためのものではなく、コンテキストのためのものです。Resources のサポートを追加することで、MATLAB MCP サーバーは構造化された読み取り専用データを直接 Large Language Model(LLM)のコンテキストウィンドウに供給できるようになりました。これにより、モデルはコードを書き始める前に、あなたがどのようにコードを書いてほしいかを理解できます。

機能ハイライト: “MATLAB Coding Guidelines” でコードを標準化

コードを生成することは簡単ですが、規約に準拠した本番レベルのコードを生成するのは難しいことはご存じかと思います。Resources の力を示すために、MATLAB MCP サーバーを MATLAB AI コーディングルールに直接接続しました。

これで、エージェントに「このスクリプトを書いて。キャメルケースを使って、ループに i は使わないでください」といったプロンプトを与える代わりに、Coding Guidelines Resource を添付するだけで済みます。

実際の例として、Claude Desktop や Cursor のような AI エージェントに「複素数配列を処理するスクリプトを書く」ように依頼する場面を想像してください。

コンテキストなしの場合:

モデルは i をイテレータとして使ったループを生成するかもしれません。

% Typical AI Output
for i = 1:100
    y = x + 3i; % Potentially ambiguous or error-prone if 'i' is overwritten
end

MATLAB コーディングガイドライン Resource を使った場合:

MCP クライアントで matlab://resources/coding_guidelines リソースを選択するだけです。エージェントはガイドラインを即座に読み込み、特に虚数単位と変数名に関するルールを確認します。

結果:

エージェントは「虚数には 1i または 1j を使用する」というガイドラインの推奨に基づいて動作を自動修正し、シャドウイングを防ぐために i をループ変数として使うことを避けます。

% Output with MCP Resource attached
for k = 1:100
    y = x + 3*1i; % Adheres to MathWorks guidelines for imaginary units
end

 

これにより、AI が生成するコードは単に動作するだけでなく、クリーンで保守しやすく、大規模なエンジニアリングチームで使用される標準に準拠したものになります。

 

その他の新機能は?

今回のリリースには、コミュニティからのフィードバックに基づくいくつかの改善が含まれています:

  • Lazy Loading:サーバーの起動を最適化しました。MATLAB は「レイジーロード」を採用し、サーバーは即座に起動し、最初のツール呼び出し時にのみ完全な MATLAB エンジンを起動します。
  • System Tests:異なる OS 環境での安定性を確保するため、堅牢なシステムテストスイートを追加しました。
  • Watchdog Logging:サーバーのウォッチドッグプロセス専用のログにより、デバッグが改善されました。

試してみましょう

更新された MATLAB MCP Core Server はすでに現在利用可能です。

  1. サーバーをアップデート:最新リリースを GitHub リポジトリから入手してください。
  2. ガイドラインを確認:新しいリソースのインスピレーション源となった MATLAB Coding Guidelines リポジトリをご覧ください。
  3. 接続:AI チャットやエージェント(Claude や MCP をサポートする IDE など)を新しいサーバーに接続し、新しい Resources を探してください(Claude Desktop では「+」アイコンから利用できます)。

皆さんがどんなものを構築されるのか、楽しみにしています!

|
  • print

Comments

To leave a comment, please click here to sign in to your MathWorks Account or create a new one.