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MATLAB Agentic Toolkit がリリースされました

※この投稿は 2026 年 4 月 13 日に The MATLAB Blog へ 投稿されたものの抄訳です。

TL;DR: MathWorks は MATLAB Agentic Toolkit をリリースしました。これは、Claude Code や OpenAI Codex のようなエージェント型 AI システムとともに MATLAB や Simulink を使用している人の作業を大幅に楽にしてくれるものです。こちらから入手できます:
https://github.com/matlab/matlab-agentic-toolkit

AI を使いこなすのが上手な人とそうでない人がいる

私と同じように、多くの方がエージェント型 AI を使って MATLAB とのやり取りを高速化しようと試していると思います。AI を使って、古いスクリプトを再利用可能なツールボックスに変換したり、アプリケーション全体をゼロから開発したり、コードを数千倍高速化したり、さらには MATLAB をゲームプラットフォームに変えてしまう例まで見てきました。

AI は簡単に使えるように見えます。「これを作って」と言って、あとは目の前で形になるのを眺めるだけなのですから。しかし一方で、AI を使って成果を生み出すのが、他の人よりもはるかに上手な人がいます。しかも、桁違いにです。

では、その秘密は何なのでしょうか。

答えは、魔法のようなプロンプトエンジニアリングや、何か隠された知識ではありません。ポイントは次の 3 つに集約されます。

  • AI が実際にコードを実行・テストできるよう、正しいツールを与えること
  • MATLAB 固有のコツを理解できるよう、適切なコンテキストを与えること
  • 場当たり的ではなくベストプラクティスに従うよう、正しい指針を与えること

MATLAB Agentic Toolkit は、この 3 つすべてを提供します。

MATLAB Agentic Toolkit とは?

このツールキットは、MathWorks がこれまで別々に開発してきた 2 つの補完的な技術をまとめ、インストールや設定、更新を非常に簡単にしたものです。1 つ目は MATLAB MCP Core Server で、これはマシン上で動作している MATLAB と AI エージェントが直接やり取りできるようにします。2 つ目は、AI に新しいことを教えたり、その振る舞いを変えたりするための Agent Skills をまとめたライブラリです。

これらは個別にも入手可能ですが、このツールキットの目的は、それらのインストールと利用をよりシンプルにすることです。また、さまざまな部品を別々に探し回る代わりに、このプロジェクトひとつだけを気にすれば済みます。新しいツールが開発され次第、更新していく予定です。

MATLAB Agentic Toolkit をインストールすることで、「これを作って」と AI に指示したとき、ツールキットがない場合と比べて、はるかに高品質な成果物が得られるようになります。

それでは、ツールキットの 2 つの要素をもう少し詳しく見ていきましょう。

Part 1: MATLAB MCP Core Server

私が最初に AI システムを使って MATLAB コードを書き始めた頃は、Claude Desktop や ChatGPT のようなチャットベースのシステムを使っていました。AI にコードを書かせ、それを MATLAB にコピー&ペーストし、動かなかったコードを見て「やっぱり・・」と苦笑する、ということを繰り返していました。引数が間違っていたり、存在しない関数名を作り出していたりすることもよくありました。「これだから AI は」と独り言を言っていたものです。

状況が一変したのは、昨年 11 月に MathWorks が Model Context Protocol (MCP) Core Server をリリースしてからでした。これにより、AI がユーザーのマシン上の MATLAB を直接実行できるようになり、コピー&ペーストは不要になりました。AI はコードを書き、実行し、実際に起きた結果をもとに自動で修正を加えることができます。また、コード記述中に MATLAB のコードアナライザーを使ってバグチェックを行ったり、MATLAB Coding Standards のようなリソースにもアクセスできます。機能は常に追加されており、現在 MATLAB MCP Core Server はおよそ 2 週間ごとに更新されています。

ただし、問題もありました。それは、インストールや設定が難しいことです。私は以前「MATLAB の Model Context Protocol (MCP) Core Server を Claude Desktop で試してみた」という記事の中で、Claude Desktop 用に設定する際の苦労について丸々 1 セクションを使って書きましたし、SNS 上でも、特定の AI システム向けの設定方法について頻繁に質問されています。

GitHub から直接 MATLAB MCP Core Server をインストール・設定することも可能ですが、このツールキットを使えばそれを自動で行ってくれ、更新も簡単に保てます。更新が 2 週間ごとに行われることを考えると、それだけでもツールキットを使う価値があると私は思います。

Part 2: Agent Skills

Agent Skills は、突然現れたように感じられる存在でした。Claude の機能として 2025 年 10 月に登場し、MathWorks の数名が言及していたのは覚えていますが、当時の私はあまり注目していませんでした。ところが数か月後には、AI 分野で最も一般的な概念のひとつになっていました。現在では、主要な AI システムはすべて Agent Skills をサポートしており、元々の skills 用 GitHub リポジトリは、執筆時点で 114,000 以上のスターを獲得しています。これはかなりの数です。

技術的には、スキルの多くは「AI に何をすべきか」を教える Markdown ファイルにすぎません。もっと複雑なものもありますが、流通している多くのスキルは単なる Markdown ファイルでした。そのため当時の私は、「Markdown ファイルの枚が増えたところで、どれほど違いが出るのかな?」と思っていました。

結果はどうだったかというと――大きな違いでした。実に大きな違いです。

スキルシステムが機能する理由は、AI が関連する作業を始める前にその Markdown ファイルを読む点にあります。つまり、一般的な学習知識だけに頼るのではなく、そのファイルに書かれた具体的で厳選された指示に従うのです。これにより、これまでできなかったことを AI に教えることができます。好みを示したり、知識の一部を凝縮したり、別のやり方へ導くこともできます。あなたのやり方、あるいは私たちのやり方へと。

MathWorks のメンバーの一部は、Agent Skills の開発を試し、それらを GitHub で公開してきました。Live Script の書き方を教えるもの、MATLAB コードを最適化するもの、デジタルフィルタを設計するものなど、さまざまなスキルがあります。スキル自体は簡単に書いたり修正したりできますが、その品質を見極めるのは難しく、科学というより芸術のように感じられることもあります。良いスキルと悪いスキルの違いについては、まだ試行錯誤しているところです。そのため、完璧になるのを待つのではなく、私たちは「早くリリースし、頻繁に更新する」方針を取っています。

ツールキットに含まれるスキルは、実験的な GitHub リポジトリのものより洗練されていますが、この分野にはまだ多くの課題があります。効果にはばらつきがあるでしょうし、皆さんからのフィードバックを非常に重視しています。

前置きはこれくらいにして、ツールキットを使い始めましょう。

MATLAB Agentic Toolkit を使い始めるには

必要なものは 3 つです。

  • MATLAB R2020b 以降
  • 対応している AI コーディングエージェント
  • Git

ここでは、Claude Code を使用していますが、現在は GitHub Copilot、OpenAI Codex、Gemini CLI などを含む 6 つの AI プラットフォームがサポートされています。

Claude Code でツールキットを設定するには、リポジトリをクローンし、その ルートフォルダから Claude を起動します。

git clone https://github.com/matlab/matlab-agentic-toolkit.git
cd matlab-agentic-toolkit
claude
Claude に “set up the toolkit” と指示します。すると MATLAB を検出し、MCP サーバーをインストールし、プラグインを登録し、環境を検証してくれます。設定が完了したら、任意のプロジェクトディレクトリで新しい Claude Code セッションを開始すれば、MATLAB のスキルと MCP ツールをどこでも利用できるようになります。

ちなみに、この処理では、ツールキットに含まれている matlab-agentic-toolkit-setup というスキルが使われています。重要なのは、その詳細を知っている必要はなかったという点です。あなたは単に Claude にやりたいことを伝えただけで、Claude は私たちが提供したそのスキルがタスクの完了に役立つと判断し、自ら利用したのです。

私はいつも、Claude が MCP Server を正しく使えているかを確認するために、例えば
「MATLAB Agentic Toolkit にアクセスできますか?」とか「どのバージョンの MATLAB にアクセスできていて、どのツールボックスがインストールされていますか?」といった質問をするようにしています。

MATLAB Agentic Toolkit に含まれるもの

MATLAB Agentic Toolkit は、現在 2 種類のリソースを提供しています。1 つは MATLAB MCP Core Server によって提供される MCP ツール、もう 1 つは スキルカタログとして整理された Agent Skills です。

執筆時点では、以下の MCP ツールおよびリソースが提供されています。

Tool
What your agent can do
evaluate_matlab_code
MATLAB コードを実行し、コマンドウィンドウの出力を返します
run_matlab_file
MATLAB プログラムを実行します
run_matlab_test_file
runtests を使用してテストを実行し結果を返します
check_matlab_code
コードアナライザーによる静的解析を行います。
detect_matlab_toolboxes
インストールされている MATLAB のバージョンおよびツールボックスを一覧表示します
このサーバーは、さらに 2 つの MCP リソースも提供しています。matlab_coding_guidelines(コーディング標準)と、text_live_code_guidelines(Live Script のフォーマット規則)です。

現在提供されている Agent Skills はすべて MATLAB 関連で、内容は以下のとおりです。

Toolkit ― セットアップと構成:

Skill
What it teaches your agent
matlab-agentic-toolkit-setup
ツールキットのインストールと設定 – MATLAB を検出し、MCP サーバーをインストールし、プラグインを登録します
matlab-core – 基本的な MATLAB スキル
Skill
What it teaches your agent
matlab-testing
matlab.unittest を用いて単体テストを生成・実行します。パラメータ化テスト、フィクスチャ、カバレッジに対応します
matlab-creating-live-scripts
リッチテキスト、数式、インライン図を含むプレーンテキストの Live Script を作成します(R2025a 以降)
matlab-building-apps
uifigure, uigridlayout, 各種コンポーネントや uihtml を使用して、プログラムからアプリを構築します
matlab-reviewing-code
品質、性能、MathWorks のコーディング標準への準拠という観点からコードをレビューします
matlab-debugging
MCP の eval 機能を用いてエラーを診断します。プログラムによるブレークポイント設定や診断用インストルメンテーションを行います
matlab-modernizing-code
非推奨となった MATLAB 関数やアンチパターンを、最新の代替手法に置き換えます

これらの一覧はすぐに古くなってしまいます。最新のリリースについては、必ず GitHub リポジトリを確認してください。

 

Toolkit のリソースとスキルを使う

ここが私のお気に入りの部分です。これらのツールやリソースは、AI から明示的に直接使うこともできますが、そうしなくても恩恵を受けることができます。ツールキットを有効化するだけで、AI は MATLAB コードをより”良く”開発し始めます。

例えば、古い MATLAB コードが入ったフォルダで Claude を起動し、「このディレクトリにある MATLAB コードを更新して」とお願いしました。すると、Claude はコード更新のしっかりとした計画を立てる前に、自動的に check_matlab_code matlab_coding_guidelines を利用していました。これはツールキットなしの場合に比べてすでに大きな改善で、コードを書く前に、インストールされている MATLAB と MathWorks の両方から指針を得ているようなものです。

本当は matlab-modernizing-codeも自動で試してくれることを期待していましたが、このケースではそうなりませんでした。そこで私は、それを実行するように指示しました。Claude が最初に作成した計画をそのまま承認する代わりに、「matlab-modernizing-code スキルを適用して」と伝えたところ、それを実行したうえで、より良い計画を立て直しました。この改善された計画を承認すると、Claude はコードを書き、最終コードをチェックして実行する段階でも、再びツールキットを自動的に利用しました。

スキルを直接適用する方法は AI によって異なりますが、Claude ではスキル名の前に「/」を付けます。
例えば、ファイル training.mmatlab-creating-live-scripts スキルを適用させたい場合、Claude に次のように指示します。

/creating-live-scripts training.m
最初は、上の表にあるスキル名が /matlab-creating-live-scripts だったので、その通りに入力する必要があるのでは、と少し混乱しました。ただ、その点もすぐに理解できました。各スキルの呼び出し方法は、使用する AI によって異なり、このツールキットのリリースごとに変わる可能性もありますが、迷ったときは AI 自身に聞けば教えてもらえます。

この初回リリースでは、MATLAB のコアスキルのみがサポートされていますが、今後すぐにさらに多くのスキルが追加される予定です。各スキルがどのように実装されているかは、GitHub 上にあるスキルファイルを見ることで確認できます。例えば、reviewing-code スキルはこちらです。https://github.com/matlab/matlab-agentic-toolkit/blob/main/skills-catalog/matlab-core/matlab-reviewing-code/SKILL.md

ぜひフィードバックをお寄せください

MATLAB でエージェント型 AI システムを使っているなら、今すぐできる取り組みとして、これ以上に効果の高いものはありません。私たちはこのプロジェクトをオープンに進めており、頻繁に更新しています。ぜひ皆さんからのフィードバックをいただきたいと考えています。

バグ報告や機能改善の要望がある場合は、プロジェクトの GitHub リポジトリに issue を作成してください。その他の生成 AI に関するサポートについては、genai-support@mathworks.com までメールでお問い合わせください。

 

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